31年、5本、ひとりの作曲家が通した

『トイ・ストーリー5』オリジナル・サウンドトラックの国内盤CDが、2026年9月25日に発売された。品番はUWCD1151、全27曲、収録時間は約76分。日本での劇場公開が7月3日、デジタル配信が6月19日だったから、フィジカルはずいぶん遅れての登場になる。それでもこの一枚をわざわざ手に取る理由はある。スコアを書いたのが、1995年の第1作から5作すべてを担当してきたランディ・ニューマンだからだ。1943年11月28日生まれ、現在82歳。31年である。

ハリウッドの長寿シリーズで、第1作から最新作までひとりの作曲家が通した例は、思い出そうとしてもなかなか出てこない。監督は代わる(今作はアンドリュー・スタントンとマッケンナ・ハリスで、ニューマンにとってスタントンとは初仕事にあたる)。声のキャストにも世代交代の圧力がかかる。それでも音だけは、同じ人間の手から出てくる。ピクサー作品としては通算10本目。この会社と作曲家の関係は、もはや専属というより共著に近い。

全27曲のうち、テイラー・スウィフトは1曲だけ

アルバム自体は2026年6月19日、映画の全米公開と同日にウォルト・ディズニー・レコードから届けられた。全27曲のうち話題をほぼ独占したのはテイラー・スウィフトの新曲「I Knew It, I Knew You」で、ジャック・アントノフとの共作・共同プロデュース。6月5日に先行シングルとして解禁され、ビルボード・グローバル200で1位を獲得した。ディズニー/ピクサー映画の楽曲が同チャートの首位に立ったのは、これが初めてだとされる。

だが27曲のうち、その1曲を除いたほぼすべてはニューマンのスコアである。録音は2025年から2026年にかけて、カルヴァーシティのソニー・スコアリング・ステージ。指揮はニューマン自身とジョーイ・ニューマンが分担した。海外の批評では「おなじみの旋律に何度も戻っていくことで、しっかり涙を絞り取る」「ジェシーの不安を映画の織物そのものに縫い込んでいる」といった評価が並ぶ。新曲で人を集め、スコアで泣かせる。役割分担が、きれいに成立している。

国内盤CDに何が入っているか

国内盤の仕様を並べておく。

  • 品番UWCD1151/全27曲──2026年9月25日発売
  • 紙ジャケット仕様+ピクチャーレーベル──盤面にはウッディのカウボーイハットがあしらわれている
  • ポスタータイプのブックレット──歌詞とイラストを収録。結婚式シーンのアートワークが使われている
  • 初回分特典──ランダム封入のクリアファイル(2種)※数量限定

さらに日本では、シリーズ30周年(第1作の日本公開は1996年3月23日)に合わせた企画盤『ベスト・オブ・トイ・ストーリー -30 Years & Beyond-』が7月15日に発売されている。通常盤(3,650円/全19曲、6種の別ジャケット付き)と生産限定盤(5,800円/アートボード同梱)の2形態で、「君はともだち」から4作目までの楽曲を1枚に束ねた構成だ。5作目の27曲と合わせれば、31年分のニューマンが手元に揃うことになる。

82歳に託すという判断

今年の劇伴の流れを振り返ると、この選択はかなり目立つ。たとえば9月9日に出た『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』のサウンドトラックでは、近藤浩治の旋律をブライアン・タイラーが引き受けた。原曲の作者は監修に回り、スコアはハリウッドの現役世代が書く。ゲームやアニメのシリーズを大作映画へ翻訳するとき、いまはこれが標準的な手順のように見える。

ピクサーはそれをしなかった。ニューマンのアカデミー賞記録は22ノミネート・2受賞(『モンスターズ・インク』の「If I Didn't Have You」と『トイ・ストーリー3』の「We Belong Together」)で、要するに「ほぼ毎回候補になるのに、ほとんど勝てない」作曲家である。それでも5作目も彼だった。おもちゃが電子機器に追い越されていく物語に、31年前と同じ人間のピアノとオーケストラを当てる。この決定そのものが、映画のテーマに対する一番わかりやすい返答になっている。日本では初日興収4億8,445万9,420円・動員32万705人という洋画アニメーション歴代No.1のオープニングを記録し、7月下旬には全世界興収10億ドルを突破した。その全部の下に、82歳が書いた音が敷かれている。