2025年10月5日にフジテレビ系で始まった『DIGIMON BEATBREAK』が、9月27日放送の第49話で1年間の放送を終えた。その3日後、9月30日に日本コロムビアからオリジナル・サウンドトラックが届く。CD3枚組・税込5,500円(COCX-42751〜3)。音楽はもちろん、桶狭間ありさだ。
1年モノを一人で走り切った、いま最も多忙な作曲家
『DIGIMON BEATBREAK』は東映アニメーション制作、監督は宮本浩史、シリーズ構成は山口亮太。舞台は「e-Pulse」というエネルギーがAI端末「サポタマ」を動かす近未来で、主人公・天馬トモロウが自分のサポタマから現れたゲッコーモンと出会い、人間のe-Pulseを喰らう危険なデジモンを狩る「クリーナー」チームに加わっていく。プロデューサーが「ティーン後半から20代」をターゲットに掲げたとおり、従来のデジモンよりも硬質でダークな空気をまとったシリーズだった。
桶狭間ありさは1993年、愛知県の桶狭間古戦場のあたりで生まれ育った作曲家。音楽の専門学校を経て作家アシスタントとして修業し、2020年から本格的に作曲活動を開始。『呪術廻戦』や『薬屋のひとりごと』といった大作に名を連ね、当サイトでも今年『姫騎士は蛮族の嫁』の単独劇伴や、2026年秋クールの「3本掛け持ち」ぶりを取り上げてきた。日本コロムビアのリリースは彼女の持ち味を「シンセを駆使した派手なEDM系の楽曲」と「感情に寄り添うキャラクター曲」の両輪と説明している。1年間・49話のシリーズを一人で担う仕事は、その両輪をフルに回す必要があったはずだ。
メインテーマ「Resonance」が、第48話で「Tomorrow」になる
このサントラでいちばん語りたいのは、DISC3の17曲目に置かれた「Tomorrow」だ。歌うのはChica。これはメインテーマ「Resonance」を英語詞のボーカル曲として作り直したもので、9月20日放送の第48話で流れたばかりの新曲である。1年間ずっとインストとして物語を支えてきた旋律が、クライマックス直前に初めて「歌」として立ち上がる──劇伴の使い方として、これ以上ないほど正統で、そして効く演出だと思う。日本コロムビアの発表でも「メインテーマの印象的なメロディがボーカル表現になる特別な楽曲」と位置づけられている。
- 収録内容:桶狭間ありさによるBGMに加え、やぎたろ。が歌う挿入歌「Edge of Limit」「Answer」、MADKIDのオープニング「Mad Pulse」、そして1年間で4曲を数えたエンディング主題歌のTVサイズ版を収録。
- 曲名から見える構造:「Resonance」「One for All」「Broken Groove」「Ghost Note」「Analysis」「優しい嘘」──"ビート"を冠した作品らしく、音楽用語をそのまま曲名にしたトラックが並ぶ。
- ジャケット:天馬トモロウが音楽に浸る描き下ろしイラスト。
初回特典は「コンサートの先行抽選券」という粋な設計
特典として封入されるのが、12月28日・29日に東京国際フォーラム ホールCで開催される「DIGIMON CONCERT 〜 2026 Anniversary & BEATBREAK 〜」の先行抽選申込券。東映アニメーションの公式ページによれば、このコンサートでは『BEATBREAK』に加えて『デジモンテイマーズ』『デジモンセイバーズ』『デジモンユニバース アプリモンスターズ』『デジモンゴーストゲーム』という、2026年に節目を迎える4シリーズの音楽が生演奏される。一般発売は11月上旬にチケットぴあから。サントラを買った人が真っ先に生演奏へ辿り着けるという導線は、劇伴を「聴いて終わり」にしない仕掛けとしてとても好ましい。
1年モノの劇伴を、3枚組で「読む」楽しみ
4クールのTVアニメの劇伴は、放送中は場面の裏で流れ続けるので、全体像を掴む機会がなかなかない。3枚組という物量はその「1年分」をまとめて聴き直すためのものだ。おすすめの聴き方は、DISC1冒頭の「Resonance」と、DISC3の「Tomorrow」を並べて聴くこと。同じメロディが、1年の物語を経てどう表情を変えたかがいちばんよくわかる。放送が終わった今だからこそ、このサントラは"答え合わせ"として機能するはずだ。