山崎貴監督の最新作『ゴジラ-0.0』の公開(11月3日・ゴジラの日)まで3週間を切ったところで、劇伴好きにとっての本題が届きました。音楽を手がける佐藤直紀による『オリジナル・サウンドトラック ゴジラ-0.0』が、CDは11月4日(税込2,970円)、完全数量限定・ナンバリング入りの2枚組LPは12月11日(税込11,000円)に発売されることになり、10月14日に予約受付が始まりました。
そして目を疑ったのが、その告知文に並んでいた編成の数字です。新たなテーマは、フルオーケストラの低音セクションを大幅に増強したもので、トロンボーン24本、チューバ6本、チェロ32本、コントラバス6本。数字だけで、もう音が聴こえてきそうです。
「普通のオーケストラ」と比べると、どれだけ異常なのか
一般的な2管〜3管編成のオーケストラなら、トロンボーンは3本(バス・トロンボーンを含む)、チューバは1本、チェロは10〜12本ほどが標準的な規模です。単純に比べると、トロンボーンはおよそ8倍、チューバは6倍、チェロは約3倍。ブラスバンドの全国大会でもまず見ない数のトロンボーンが、ひとつのテーマのために並んだことになります。
個人的に面白いと感じたのは、増強の「配分」です。コントラバスは6本と、むしろ通常のオーケストラ並み。重みが置かれているのは超低域ではなく、トロンボーンとチェロが受け持つテナー〜バスの帯域なんですね。地鳴りのような“床”を作るというより、人間の声に近い高さで、分厚い壁のように「吠える」ための編成に見えます。ゴジラの咆哮そのものが、ちょうどこのあたりの帯域でスクリーンを震わせることを考えると、劇伴が怪獣の声と同じ場所で張り合いにいった、と読むこともできそうです。
ニューヨークの批評家が聴いた「日本中のトロンボーン」
本作は9月下旬、第64回ニューヨーク映画祭のSpotlight Galaとしてリンカーン・センターのアリス・タリー・ホールでワールドプレミアを迎えています。その上映を観たボストン・グローブ紙の批評は、佐藤のスコアを「不吉で、先行きを暗示する」と評したうえで、ゴジラのおなじみのテーマがより重いアレンジで鳴らされ、まるで日本中のトロンボーンとヴィオラをほぼ全部かき集めたかのような金管と弦だった、と書いています。冗談めかした比喩ですが、今回明かされた「24本」という数字を見ると、あながち誇張でもなかったことがわかります。
同紙によれば、本作はアメリカでR指定となり、前作(PG-13)から一段階引き上げられました。物語の舞台は前作の2年後、1949年の日本。日本の実写映画として初めて「Filmed for IMAX」で撮影された作品でもあり、上映時間は135分です。より大きな画面と、より重いレーティング。そこに、より低く、より分厚い音。続編のスケールアップが、音楽の編成表にもそのまま刻まれているわけです。
『-1.0』と同じ「11月4日」に込められたもの
思い出しておきたいのが、前作『ゴジラ-1.0』のサントラもCDが11月4日、アナログ盤が12月という並びでリリースされていたことです。公開の翌日にCDを出し、年末にかけてじっくり聴くための盤を届ける。3年前と同じリズムで今回もサントラが出てくるのは、あの劇伴が劇場の外でも聴かれ続けた実績があってこそでしょう。『ALWAYS 三丁目の夕日』以来、山崎作品の多くを手がけてきた佐藤直紀と監督のコンビにとっても、ゴジラは今や「シリーズ」になりました。
楽しみ方としておすすめしたいのは、まず劇場で浴びて、翌日にCDで答え合わせをすること。とくにIMAXなどの大きな音響環境では、24本のトロンボーンが「数」としてではなく「空気の圧」として届くはずです。そして12月の2LPでは、低域の厚みがアナログでどう刻まれるのかにも注目したいところ。なお、収録曲数やトラックリストはまだ公表されていないようなので、続報を待ちましょう。
- オリジナル・サウンドトラック ゴジラ-0.0(CD):2026年11月4日発売/税込2,970円
- 同 2枚組LP(完全数量限定・ナンバリング入り):2026年12月11日発売/税込11,000円
- 映画『ゴジラ-0.0』:2026年11月3日(火・祝)公開/監督・脚本・VFX:山崎貴/音楽:佐藤直紀
第39回東京国際映画祭(10月26日〜11月4日)ではセンターピース作品としての上映も控えています。11月3日、ゴジラが72歳の誕生日にどんな音で帰ってくるのか。低音好きは、耳と胸の準備を。