LUNA SEAとX JAPANでギターとヴァイオリンを操ってきたSUGIZOが、アニメの劇伴に初めて挑んだ。10月13日に放送が始まったオリジナルTVアニメ『DARK MACHINE THE ANIMATION』。その音楽をまるごと収めた「Original Soundtrack」が、2026年12月9日(水)にビクターから2CDと2LP、そして配信で同時リリースされることが発表された。ぴあの記事見出しにもある通り、SUGIZOにとって“初挑戦のアニメ音楽”だ。

ロックの最前線を30年以上走ってきた人が、毎週30分のテレビアニメという「場面に寄り添う音楽」の現場で何を鳴らしたのか。発表された仕様を眺めるだけでも、かなり面白いことが見えてくる。

eスポーツ×ロボット×近未来の千葉、という舞台

『DARK MACHINE』は、eスポーツ向けのゲームとアニメを同時に展開するクロスメディアプロジェクト(原作:Project Carbuncle)から生まれた完全新作オリジナルアニメ。舞台は海面上昇によって千葉が関東から切り離された近未来の日本で、主人公カイリ(CV:小野賢章)が亡き祖父の遺言をきっかけに、eスポーツタイトル「ダークマシン」の世界へ飛び込んでいく。

スタッフの顔ぶれも濃い。監督は寺田和生、クリエイティブプロデューサーに谷口悟朗、メカデザインは天神英貴、アニメーション制作はProduction +h.。天神は「おそらく私のキャリアの中でも最も多くのロボットを生み出した作品」とコメントしている。そこに音楽としてSUGIZO(音楽制作:フライングドッグ)が加わった。発表時の紹介文は「重厚なサウンドと繊細な旋律」。ヘヴィなギターと、彼のもうひとつの武器であるヴァイオリンの歌心——その両方を想像させる言葉選びだ。

2CDで40曲、LPは“本人が選んだ”別の顔

リリース形態は3つ。

  • 通常盤(2CD):VTCL-60711〜60712/4,400円(税込)。劇伴に主題歌・挿入歌を加えた全40曲
  • アナログ盤(2LP):VTJL-63〜64/6,600円(税込)。CDの40曲からSUGIZO自身が選曲
  • VICTOR ONLINE STORE限定セット:2CD+2LP+オリジナルレコードバッグ/13,200円(税込)

注目したいのはLPだ。アニメのサントラは「全部入り」が正義になりがちだけど、ここでは作曲者本人が40曲から選び直して2枚に再構成する。つまりCDは“劇中で鳴った音の記録”、LPは“SUGIZOのアルバムとしての劇伴”という二つの顔を持つことになる。ジャケットはメカデザイナーの天神英貴による描き下ろしで、12インチのサイズで眺めるロボットはそれだけで所有欲を刺激する。

BUCK∞TICK、三代目JSB、TAKU INOUE——振れ幅の大きい一枚に

収録される歌ものの並びも象徴的だ。オープニングはBUCK∞TICKの「存在理由 改」、エンディングは三代目 J SOUL BROTHERSの「Galaxy Mode」(いずれもTVサイズ)。さらに劇中のユニットSTELLATUSが歌う挿入歌「Pitch Black」はTAKU INOUEの楽曲で、こちらは11月11日0時から先行配信される。日本のロック史を背負うバンド、ダンス&ボーカルグループ、そしてゲーム/アニメ音楽の最前線のクリエイター。この三者の間を、SUGIZOのスコアがどう繋いでいるのかが2CDの聴きどころになりそうだ。

ロックミュージシャンが劇伴を書くと、「バンドの曲っぽさ」が前に出すぎて映像から浮くこともある。逆に、場面に合わせすぎて作家性が消えることもある。eスポーツの試合、ロボット同士の戦闘、チームの友情と成長——寺田監督が「詰め込んだ」と語る要素の多さは、劇伴にとっては曲調の引き出しの多さを試される場でもある。40曲というボリュームは、その引き出しを一気に開ける量だと言っていい。

発売日の夜、タワレコ渋谷で“裏側”が語られる

発売当日の12月9日19時からは、タワーレコード渋谷店5Fイベントスペースで「トーク&サイン会」も開催。SUGIZOと寺田和生監督が登壇し、制作の裏側を語る予定だ。初めてのアニメ劇伴で、監督とどんな言葉を交わしながら音を作っていったのか。メニュー表(音楽発注)をどう読んだのか、ギターとヴァイオリンをどう使い分けたのか——劇伴好きとしては聞きたいことが山ほどある。

放送はまだ始まったばかり(関西テレビは10月15日、BSフジは10月20日から)。12月の発売までに毎週の放送で耳を慣らしておけば、2CDで全体像を、2LPで“作曲者の選んだ物語”を味わう、二段構えの楽しみ方ができる。ロックの人がアニメを鳴らすとき、何が起きるのか。その答え合わせは、冬の始まりにやってくる。