2026年夏アニメがいよいよ出揃った。今期は話題作の多さもさることながら、劇伴の布陣がとにかく面白い。TVシリーズとして帰ってくる『攻殻機動隊』、川井憲次が鳴らす『コードギアス 奪還のロゼ』、菅野祐悟が音楽を務めるオリジナルアニメ……音楽好きとしてはどこから聴けばいいのか嬉しい悲鳴である。今回は7月開始の新作から、劇伴的に「これは追うべき」という作品をまとめて紹介したい。
『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』は"3人がかり"の音響設計
まず何をおいても、7月7日23時に放送が始まる『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』だ。アニメーション制作は『犬王』『きみの色』のサイエンスSARU、シリーズ構成・脚本はSF作家の円城塔という時点で只事ではないのだが、音楽面も負けていない。音楽監督・音楽を務めるのは、『竜とそばかすの姫』で日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞した岩崎太整。さらに2025年大阪・関西万博の開会式で音楽監督を務めた小西遼、アメリカを拠点に『Dr.STONE』などを手がけてきたYUKI KANESAKAが加わる3人体制である。
攻殻シリーズの音楽といえば、押井守監督の劇場版における川井憲次の民謡的コーラスの呪術性、『STAND ALONE COMPLEX』における菅野よう子のエレクトロニカとジャズの越境と、そのたびに日本のアニメ音楽の風景を塗り替えてきた歴史がある。つまり「攻殻の劇伴を任される」ことは、アニメ音楽史の最前線に立たされることとほぼ同義だ。出自の異なる3人がクレジットに並ぶ今回の座組は、単なる分業ではなく、電脳世界の多層性を音でどう設計するかという挑戦に見える。第1話の最初の音の鳴り方から、耳をそばだてて迎えたい。
同じ週、川井憲次は『コードギアス 奪還のロゼ』で鳴る
面白いのはここからで、その攻殻の初回からわずか3日後、7月10日には『コードギアス 奪還のロゼ』のTV放送版が毎日放送ほかでスタートする。音楽はまさにその川井憲次。1995年の劇場版『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』で世界中のクリエイターに衝撃を与えた張本人が、同じ週にコードギアスの世界で鳴っているのだ。新生攻殻の音と、かつて攻殻の音を作った男の現在地を、ほぼ同時に聴き比べられる夏はそうそうない。劇伴ファンとしては、この偶然の構図だけでご飯が三杯いける。
オリジナルにも職人が集結──菅野祐悟、堤博明、横山克
今期は中堅〜ベテラン劇伴作家の仕事も充実している。『冴えない彼女の育てかた』の亀井幹太監督とA-1 Picturesが組むオリジナルアニメ『グロウアップショウ ~ひまわりのサーカス団~』は、菅野祐悟が音楽を担当。高度経済成長期の日本を舞台に、サーカスの祭典を目指す少女たちを描く物語という題材は、フルオーケストラからレトロな歌謡的アプローチまで、引き出しの多い菅野の腕が最大限に活きる設定だろう。ショウの音楽を劇中で「聴かせる」タイプの作品になるはずで、サントラ映えは今期屈指と踏んでいる。
7月3日に日本テレビで始まった『これ描いて死ね』は堤博明。とよ田みのるによる漫画創作賛歌が、どんな温度の音で彩られるのか楽しみだ。ほかにも『鬼の花嫁』に横山克、『きみが死ぬまで恋をしたい』に橋本由香利と未知瑠、キネマシトラスのオリジナル『さよならララ』にyuma yamaguchi、『片田舎のおっさん、剣聖になるII』に高梨康治と、名前を見るだけで音が想像できる面々がずらりと並ぶ。
今期の「聴く」優先順位
整理すると、当サイト的な今期の注目はこうだ。
- 『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』(7月7日〜):岩崎太整×小西遼×YUKI KANESAKAの3人体制。攻殻音楽史の新章として最優先。
- 『コードギアス 奪還のロゼ』TV放送版(7月10日〜):川井憲次。新旧「攻殻の音」の聴き比べという意味でも必修。
- 『グロウアップショウ ~ひまわりのサーカス団~』:菅野祐悟のオリジナル劇伴。サントラ映え筆頭候補。
- 『これ描いて死ね』『鬼の花嫁』『さよならララ』ほか:職人たちの仕事を week by week で確かめたい。
放送が進めばサントラの発売情報も順次出てくるはずだ。今期も耳の忙しい3か月になる。各作品の音源リリースが発表され次第、当サイトでも追いかけていく。