「Key Sounds Label」が、また風の物語を鳴らす
ノベルゲームの劇伴を語るうえで、「Key Sounds Label」という名前を外すことはできない。『Kanon』『AIR』『CLANNAD』——“泣きゲー”と呼ばれた作品群の背骨を支えてきたのは、いつだって音楽だった。そのKey(ビジュアルアーツ)が2026年4月に世へ送り出したフルプライス最新作『anemoi(アネモイ)』のオリジナルサウンドトラックが、7月29日にいよいよ発売される。全63曲・3枚組という堂々たるボリュームで、恋愛アドベンチャーの世界を丸ごと音に閉じ込めた一枚だ。
『anemoi』は『Summer Pockets REFLECTION BLUE』に続くKeyの完全新作。はるか北の地・真澄町を舞台に、主人公・速川麦の視点で、雄大な自然に囲まれたスローライフを描いていく。『Summer Pockets』や『終のステラ』のスタッフが参画していると聞けば、音の作り込みに期待するなというのが無理な話だろう。タイトルの“anemoi”はギリシャ神話の風の神々の名。その名の通り、本作の音楽には終始“風”が吹いている。
BGMからボーカルまで、63曲でめぐる“風景”
今回のサントラで見逃せないのは、ゲーム中で流れるBGMだけでなく、ASCA・大原ゆい子・fhánaという豪華な歌い手陣によるボーカル楽曲のフルコーラス版まで全曲収録されている点だ。DISC1には「エタニクル」「Prism Light」「Windy Love ~恋は風に流されて~」といった、風に吹かれるような爽やかなトラックが並ぶ。かと思えばDISC2には「UMA Racing」「Attack on T-REX」なんて遊び心たっぷりの疾走曲が顔を出し、Keyらしいシリアスとコメディの振れ幅がそのまま音になっている。
- タイトル:anemoi Original Soundtrack
- 発売日:2026年7月29日(水)
- 仕様:3枚組CD(全63曲)/Key Sounds Label(品番 KSLA-0241〜0243)
- 価格:3,960円(税込)
DISC3には「踏まれるほど強く -Wilt Ver.-」や「悠遠の空 -Harmony Ver.-」といったアレンジ違いが並び、物語のクライマックスを別角度から照らし返す構成になっている。ひとつのテーマを状況ごとに姿を変えて鳴らす——この“同一モチーフの変奏”こそ、劇伴を単なるBGM以上のものへ引き上げる常套手段であり、Keyがずっと得意としてきた語り口でもある。曲名を眺めているだけで、プレイした人なら情景が甦り、未プレイの人でも物語の温度が伝わってくるはずだ。
ジャケットも、ブックレットも“作品の一部”
ジャケットイラストは、本作の原画を手がけたNa-Gaによる完全描き下ろし。さらにブックレットの表紙にも別の描き下ろしイラストが使われ、中には作曲を担当したクリエイター陣によるライナーノーツが多数掲載されるという。誰がどの曲にどんな想いを込めたのか——サントラを“聴く”だけでなく“読む”楽しみまで用意されているわけだ。ゲームをクリアした人はもちろん、まだ真澄町を訪れていない人にとっても、この63曲は十分に“風の物語”への入り口になる。発売は7月29日。夏の風に乗せて聴くには、これ以上ないタイミングかもしれない。