1989年に士郎正宗が原作コミックを世に放って以来、押井守版の劇場アニメ、テレビシリーズ、ハリウッド実写と、時代ごとに姿を変えながら世界を刺激し続けてきた「攻殻機動隊」。その最新シリーズ、TVアニメ『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』のオリジナルサウンドトラックが、2026年9月9日にCD、9月30日にアナログレコードで発売されることが発表された。7月からカンテレ/フジテレビ系で放送が始まったばかりの新作だけに、あの電脳世界を鳴らす音がいよいよパッケージで手元に届くというのは、音楽ファンにとって見逃せないニュースだ。

「攻殻」最新シリーズを鳴らすのは三頭体制

今回まず注目すべきは、音楽が一人の作曲家ではなく三名による共同体制で組み上げられている点だ。音楽監督を務めるのは岩崎太整。そこに小西遼、そしてアメリカを拠点に活動するYUKI KANESAKAが加わり、三者三様のバックグラウンドが一つのスコアへ流し込まれている。歴代の「攻殻」を振り返れば、押井守版劇場アニメ(1995年)の川井憲次による民謡的コーラス、『STAND ALONE COMPLEX』での菅野よう子とOrigaによる歌声など、シリーズは常に「音」で作品の骨格を決定づけてきた。その系譜の最新章を、あえて複数の才能の化学反応に委ねたという座組みそのものが、今作の音楽的な野心を物語っている。

音楽監督・岩崎太整という選択

音楽監督の岩崎太整は、細田守監督の映画『竜とそばかすの姫』で日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞した実力者。現在公開中の映画『TOKYOタクシー』の音楽も手がけており、劇伴の第一線を走る作家だ。ヒップホップやエレクトロニクスの語法を軸にしながら、大編成のオーケストラも自在に操る幅の広さは、サイバーパンクという「攻殻」の世界観と相性が良い。生身と電脳、アナログとデジタルが溶け合うこの作品において、ジャンルの境界を軽やかに越えていく岩崎の作風は、まさに適材適所と言える。彼が全体の設計図を引き、そこに二人の共作者が異なる色を差し込んでいく——そんな構図が見えてくる。

越境する二人、小西遼とYUKI KANESAKA

共作者の顔ぶれも濃い。小西遼は2025年の大阪・関西万博で開会式の音楽監督を務めたほか、数多くの劇場作品やドラマ音楽を担当し、Chara+YUKI、Mrs.GREEN APPLE、TOMOOといったアーティストのサウンドプロデュースでも知られる。ポップスの現場で磨かれた質感を劇伴に持ち込める書き手だ。一方のYUKI KANESAKAはアメリカを拠点に活動し、近年はTVアニメ『Dr.STONE』の音楽を手がけたことでも記憶に新しい。海外のプロダクション感覚を血肉にした彼のサウンドは、国際的な「攻殻」ブランドにふさわしい厚みを加えるはずだ。三者の出自がこれだけ違えば、混ざり合うことで生まれる摩擦や余白こそが聴きどころになる。

2枚組で持ち帰る、電脳の音

サウンドトラックは2枚組CDと2枚組アナログ盤(2LP)の二形態でリリースされる。CDの初回生産分は特殊パッケージ仕様、ジャケットはアニメ制作を手がけるサイエンスSARU監修のもと、tarou2による新規描き下ろしイラストがあしらわれるという凝りようだ。放送を追いながら耳を澄ませ、9月にはその全貌を腰を据えて味わう——そんな二段構えで楽しめるのが、リアルタイムで最新シリーズに立ち会える醍醐味だろう。三人の作曲家がどんな配分でこの世界を鳴らしたのか、収録曲のクレジットまで含めて、発売日が待ち遠しい一枚だ。