TYPE-MOONファンにとって、2026年の秋はちょっと特別です。ufotable制作の『劇場アニメーション「魔法使いの夜」』が11月20日(金)に公開。そしてその劇伴を収めた『劇場アニメーション「魔法使いの夜」Original Soundtrack』が、12月23日(水)に2枚組CDで発売されることが、10月29日にアニプレックスから発表されました。価格は3,850円(税込)、品番はSVWC-70809〜70810。初回仕様にはufotable描き下ろしの三方背BOXが付きます。

劇伴を手がけたのは深澤秀行。そう、2012年に発売された原作ビジュアルノベル『魔法使いの夜』で音楽を担当した作曲家のひとりです。原作から14年。同じ物語の“夜”を、同じ人がもう一度、今度はスクリーンのために鳴らす。これはなかなか起きないことです。

原作ゲームの音楽陣に名を連ねた人が、劇場版の劇伴をひとりで背負う

2022年に発売されたPlayStation 4/Nintendo Switch版『魔法使いの夜』の公式スタッフ情報では、音楽として深澤秀行、芳賀敬太、James Harris、hilの4名がクレジットされていました。つまり原作の音は“チーム”で作られていたわけです。それが劇場版では、劇伴のクレジットが深澤秀行ひとり。原作の空気を知っている人が、映画のための新しいスコアを一本の線で引き直す──この構図だけで、サントラへの期待値はぐっと上がります。

物語の舞台は1980年代後半。魔術師見習いで生徒会長の蒼崎青子(CV:戸松遥)、彼女と同居する魔女・久遠寺有珠(CV:花澤香菜)、そして山奥から都会へ越してきた転校生・静希草十郎(CV:小林裕介)。この3人の出会いを描く作品です。昭和の終わりの街並み、古い洋館、そして夜。原作をプレイした人なら、あの“少し冷たくて、少し懐かしい”空気を思い出すはずです。

『UBW』『月姫』──深澤秀行とTYPE-MOON作品の長いつきあい

深澤秀行は1970年生まれ、東京出身。1991年にシンセサイザー・プログラマーとしてキャリアを始め、ゲームとアニメを行き来してきた作曲家です。ゲームファンには『ストリートファイターIV』(2009年)の音楽で知られ、昨年はTVアニメ『グノーシア』(2025年)で、原作ゲームの楽曲アレンジと書き下ろしを織り交ぜたスコアを担当しました。

そしてTYPE-MOON作品との縁が深い。主なものを並べるとこうなります。

  • 2012年:ゲーム『魔法使いの夜』(原作)
  • 2014年:TVアニメ『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』(ufotable制作)
  • 2021年:ゲーム『月姫 -A piece of blue glass moon-』(芳賀敬太とともに)
  • 2026年:『劇場アニメーション「魔法使いの夜」』

ufotable×TYPE-MOON×深澤秀行という組み合わせは『UBW』以来。ufotableの映像は光と影の情報量が多く、音楽がそこに“乗りすぎる”と途端にうるさくなる。逆に引きすぎると、映像の密度に音が負ける。『UBW』でその綱渡りを経験している作曲家が、今度は2時間の劇場作品でどこまで攻めるのか。ここは公開後にぜひ確かめたいポイントです。

ちなみに深澤秀行は、10歳のときにアニメ映画版『白鳥の湖』のサウンドトラックを聴いてチャイコフスキーに惹かれたのが、音楽への入り口だったといいます。“魔女”と“夜”の物語を、チャイコフスキーに導かれた人が鳴らす。偶然にしては、できすぎた巡り合わせです。

supercellも14年ぶりに“まほよ”へ。主題歌とサントラ、年末までのリリース整理

もうひとつ見逃せないのが主題歌です。劇場版の主題歌はsupercellの新曲「夜と青」。原作ゲームでもsupercellがエンディングテーマ「星が瞬くこんな夜に」を手がけていました。劇伴も主題歌も、原作と同じ人たちが帰ってくる。スタッフの側から「この作品は原作の延長線上にある」と宣言しているようにも見えます。

年末にかけての関連リリースを整理しておきます。

  • 11月20日(金):『劇場アニメーション「魔法使いの夜」』公開(初日からIMAX同時公開)
  • 11月21日(土):supercell「夜と青」デジタル配信
  • 11月25日(水):「夜と青」アニメ盤CD(ufotable描き下ろしジャケット)
  • 12月9日(水):「夜と青」supercell盤CD
  • 12月23日(水):『劇場アニメーション「魔法使いの夜」Original Soundtrack』(2枚組)

サントラの収録曲数は、現時点の発表では明らかになっていません。それでも2枚組というボリュームは、劇場作品1本分のスコアとしてはかなり手厚い部類。映画館で耳に残ったフレーズを、クリスマス直前にじっくり聴き返せるスケジュールになっています。

IMAXの音響で深澤秀行のスコアを浴びて、1か月後に2枚組CDで答え合わせをする。14年越しの“夜”をどう鳴らし直したのか、その変化と変わらなさを聴き比べるのが、この冬いちばんの楽しみになりそうです。