日本語 English
劇伴音楽をわかりやすく世界に発信
株式会社アテナ

映画「BLUE GIANT」音楽を楽しむアニメは劇伴も劇中歌も最高すぎる 

音楽で飯を食う、ということはかなりの夢物語だと普通の人は思うはずだ。最近の子達はどこか現実的で「自分の音楽を世界に知らしめてやる」と思っている人は少数派で、「もし学生のうちに芽が出たら音楽の道に進むのもアリかな」くらいに考えている人が多そうな印象を受ける。漫画は違うが今とても人気のある「ふつうの軽音部」という漫画の主人公達も自分がメジャーデビューを狙ってやる!という夢ではなく、学校祭のトリをつとめてみたいといったような夢を掲げていたりする。もちろんコレは漫画の話だが、実際に音楽活動を25年ほど続けている筆者の周りの若者も、そこそこ地元で有名になっても卒業とともにいとも簡単に音楽を辞めてしまうという子が少なくないのだ。筆者のようにズルズルと音楽を続けてしまい同年代に(売れた人達は除く)音楽を続けている人がいなくなってしまうというような状況までとは言わないが、30歳までは夢を追い続ける!というような人もあまり最近では見かけない。それはもちろん間違いではないし、なんなら早めに自分に見切りをつけ損切りする、賢い行動だと思う。そのくらい音楽で食べていくというのは現実的に厳しいし、想像以上に一握りの人間しか残れない世界ではある。それは音楽に限らず絵や漫画の世界、俳優や声優などもきっと似た様な感じなのだろうと思う。しかしもしどこかで挫折したとしても、夢を追いかけていた時間というのは何事にも代えがたく尊いものであり、大事なものである。今夢を追いかけている人も、夢を諦めてしまった人も非常に楽しめるのがアニメBLUE GIANTである。音楽を志している人やかつて志していた人は漫画原作も是非とも読んでほしい。絶対に刺さるはず。

BLUE GIANTはジャズ漫画だ。主人公はサックスに魅せられ、ひたすらにサックスを練習して「世界一のプレイヤーになる」という夢を追いかけ続ける少年。来る日も来る日も吹き続け、上京し夢を叶え始めるという物語。ちなみに原作はもう10年以上続いており、舞台を東京→ヨーロッパ→アメリカ→ニューヨークと移していく。映画は多少駆け足になるが第一部にあたる東京編の大事なライブシーンまでを描いている。

まず、音楽を題材にしたアニメなだけに当たり前だが音楽が非常に良い。主人公がジャズを聴いてそのカッコ良さ、自由さに惹かれていく理由を音楽だけで過不足なく説明している。

劇伴というべきか、劇中歌と言うべきかはわからないが様々なジャズの名作からこの映画のために作られたオリジナルのジャズまで幅広く聴くことが出来る。絵の迫力などもさることながら、音の迫力や説得力がやはり素晴らしい(是非とも環境が許す限りの大音量で聴いてみてほしい)。

特に、ドラムの音がどんどん良くなっていく様やピアノのソロが急にアグレッシブで攻撃的に変わる部分なんかは、序盤の「この音の中なら(どの音を鳴らしても)自由」というセリフを回収しているかのような音で、話の構成すらも音楽の中に落とし込むようにかなり考えられて作られているなあと感じた。

劇伴の作曲者は、原作の石塚真一氏とも交流のある上原ひろみさんが担っており、漫画から音が聞こえてくると絶賛していた通りの音を頭の中から、いや漫画の中から引き摺り出して具現化していると言える様な怪作となっている。

ライブでピアノなしのデュオ(ドラムとサックスのみ)になる部分なんかの劇伴の作曲は、ピアニストである上原さんにとってかなりの冒険だったのではないでしょうか。ギリギリの音をギリギリまで引き絞って捉えているような劇中歌は、是非とも聴いてみてほしいです。心動かされること間違いありません。

公式サイトhttps://bluegiant-movie.jp/#より引用

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です