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劇伴音楽をわかりやすく世界に発信
株式会社アテナ

全修。が心に刺さるのは音楽との融合が凄まじいからだ

漫画やライトノベルなどに原作を求めず、オリジナルのアニメを作るというのは、今の時代だととても珍しい。原作の人気が高ければある程度以上のヒットは見込めるのに対し、ヒット作になるかコケるかが全くわからないものに中々スポンサーも集まりにくいのかもしれない。

でもだからこそ、今期のアニメで個人的に一際注目していたアニメがこの「全修。」だ。ここ最近ではヒットメーカーといえばここ!という飛ぶ鳥を落とす勢いのあるイメージのMAPPAが制作している。ちなみに全修とは「全て修正、オールリテイク、やり直し」というような意味のアニメ業界用語なのだそう。なんでそんな(おそらく僕らより書いている本人たちが一番聞きたくないであろう)不吉な名前をつけたのか…というのも、おそらくアニメを見進めていけばわかるのだろうか。

ところどころに見覚えのあるアニメが

全修。の魅力の一つは、主人公広瀬ナツ子が描くアニメキャラクターたちの活躍。そしてそのアニメのキャラクター達はもちろんこのアニメにしか出て来ないオリジナルキャラクターなのだが、そのどれもがどこかで見たことあるキャラクターなところ。グレンラガンとドカベンの岩鬼がめちゃくちゃ瞬間的に消費されてるのはちょっと面白かった。

パロディをやるのは、とても簡単そうに思えて実はセンスが必要な事だと思う。80年代初期くらいから爆発的に増えた「既存作品へのオマージュ」は、時に実験的に、時に(オタク知識の)踏み絵的に、時にギャグの決め手として、多種多様な作品内で使われてきた手法だ。しかしそれが増えすぎた昨今はパロディも食傷気味になっているのが正直なところ。(個人的にはジョジョパロが死ぬほど増えた時期くらいから質はガクッと落ちた気がする。)

ではどんなパロディなら受け入れられるか、それはやはりその作品に対する愛ではないだろうか。なんとなく聞きかじりの知識で描いたパロディや、これやっときゃウケるんでしょ?的なパロディは正直全然笑えないし、不快に思う事も多い。しかし今作はアニメ界隈の人間がアニメの力で戦うという設定を活かした遊びゴコロが上手く作用し、それでいて一瞬のシーンでも手を抜かずに全力でパロディをやろうという気概が感じられてとても良い。

そしてとにかく劇伴が全体的にカッコいい

正直、語彙力無さすぎだろと言われてしまいそうだが、どの劇伴もものすごくカッコいいとしか言いようがない。しかも、全体的に劇伴がかかっているシーンがすごく多い気がする。RPGで使われていそうな音楽、ファンタジーには絶対かかせないケルト音楽、主人公広瀬ナツ子がキメの作画シーンに入る場面のこれから何が起こるのか!?というワクワク感に満ちた音楽…などなど、どの音楽についても語っていきたいくらいだ。

どの音楽も、その場面に合わせて説得力が増すように作られているのでアニメと一緒に見て聞いてみて欲しいとしか言いようがないのが難しいところだ。

非常に見やすく、わかりやすく、アニメ大好きな層にもライト層にも届きやすく丁寧に作られた良作、全修。是非とも追いかけてみてはいかがだろうか。ちなみにSNSではプリキュアみを感じるなんていう意見が結構多かった。プリキュア見た事ないのですが、そうなんでしょうか…そのあたりは皆さんで実際に見て確認してみてください!

このアニメをきっかけに、オリジナルアニメがまたたくさん世の中に出回るようになったら良いなと思う。そして劇伴がここまでふんだんに使われている作品も久々に見たので、他作品にもどんどんその劇伴熱が伝播していって欲しいものである。

公式サイトhttps://x.com/zenshu_animeより引用

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