もう、第一話冒頭の劇伴から「これこれこれ!」となってしまう方もいたのではないでしょうか。かくいう筆者ももちろんワタル世代なので、不穏な鐘の音と暗闇を切り裂き鳴り響くカミナリ…めちゃくちゃベタなだけに、ここ最近見てなかった演出すぎて秒で盛り上がってしまいました。
ワタルといえばやはり、思い出されるのは初代魔神英雄伝ワタルでしょう。SDガンダムが大流行し、元々カッコいいロボットが二頭身から三頭身くらいのどこか可愛らしいフォルムになった事で当時の子供達に受け入れられ、マクロスやパトレイバーもSD化し、オリジナルのSDサイズのメカが台頭し始めた頃に満を持して登場した龍神丸のカッコ良さ。同スタイルのメカが以降もグランゾートやリューナイトなんかに引き継がれていきます。そしてワタルが田中真弓さん、ヒミコが当時まだ駆け出しだった林原めぐみさん、シバラク先生が西村知道さんと豪華すぎる声優陣…語り出せばキリが無いですが素晴らしいアニメでした。だからこそ、2020年にリメイク作品が作られたり、今回の魔神創造伝ワタルのようにリブートされた作品が作られているのでしょう。
今作の主人公のワタルは現代っ子っぽくリューチューバー(youtuberのようなもの)であり、何やらブロックのようなものを出して足場にしたりロボットを作ったり出来る模様。こういった「なんかわからないけど、それが出来る」的な演出はまさしく子供向けアニメのそれだ。大人になると余計なツッコミを入れたくなってしまうだろうが、そんなのお構い無し、楽しければそれで良い!的なノリが今作の主人公ワタルにも感じられる。
ワタルの劇伴はやはり名前繋がりでワタル氏に任せようと言う事か。いやはやもちろんそんなわけではなく、そもそも前口ワタル氏は多くのアーティストや声優さんへの楽曲提供や、アニメ劇伴を手掛けてきたプロデューサー。今作の劇伴は全体的にどこか昔のスクウェア作品を思い起こさせるようなファンタジー色が強いながらもメロディが強く印象に残りやすい楽曲が多いと感じた。どこがどうスクウェアなのか?と問われると言葉にする事は難しいが、初代ワタルがテレビ放送されていた時期がまさしくファミコン・スーパーファミコンの全盛期だったから筆者が勝手にそう感じているだけなのかもしれない。音色的に中世っぽい世界観に合いそうな音に昔の日本で使われていそうな和楽器っぽい音が非常に違和感なくマッチしているような楽曲や、80年代から90年代の小学生向けのアニメ内で流れていたような、良い意味でレトロ感あるメロディの印象的な劇伴、さらにはあえてコード内に合う音から微妙に外したメロディを混ぜたどこかコミカルな楽曲などなど。アイキャッチの音楽もどこか懐かしくてとても好印象。使われている音色は現代っぽい音が使われているため、懐かしさの中に新しさが感じられる出来になっている。
アニメ自体の出来も、綺麗で今っぽくみやすい絵柄で今の子供達が初見で違和感なく楽しめるだろうし、初代ワタル世代の大人達もそのままの名前の龍神丸、そしてその操作方法や乗り込み方などが全くあの頃と一緒で、しっかりと世界観にひたれる出来になっている。懐かしいけど新しいワタルの冒険に、大人も子供も関係なくワクワクしながら続きを楽しみにしていける良作だと思いました!
