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株式会社アテナ

待ちに待ったアニメ化!アオのハコの劇伴は水星の魔女で話題になったあの方が担当!

良質な青春ラブストーリーは、少年誌だと新鮮

 ジャンプは歴とした少年漫画だが、良質なラブコメが歴代必ず一作品以上ある。いや、少年漫画らしいラブコメがあると言った方が正しいかもしれない。少女漫画は7.8割方ラブストーリーが基軸になっている物語が多い。男性と女性では精神的に大人になるのが女性の方が比較的早いと言われ、さらに女性同士は「察する」という文化を培ってきたため、男性の恋愛に対する鈍感さに一喜一憂している少女達も多いのだろう。そんな悩み多き少女達が「恋というものはこういうものである」と学ぶためのツールになっている節が少なからずある気がする。

 と言うのも、少女漫画のラブストーリーというのは複雑な感情の揺れや人間関係が表現されている作品が多いのに対し、少年誌のラブコメはどこか予定調和な、と言うと聞こえは悪いかもしれないが「冴えない自分をなぜか取り合ってしまう美少女達」というような、ともすれば妄想の産物である作品が比較的多かったように思うからだ(もちろん、全ての作品がそうと言うわけでは断じてない)。

 そんな中、アオのハコである。2021年から連載し現在もジャンプ本誌で連載中の絶大な支持を集めているラブストーリー漫画である。アオのハコは前述したような少年誌における王道のラブコメとは一線を画す、現実でもままあるようなリアルな青春ラブストーリーを丁寧に描いている作品で、部活を通じて自分が経験したような悔しさやどうしようもない男女の想いの行き違いなんかは、それこそ少女漫画のように繊細に表現されている。少年誌でこういった漫画が人気になるということは現在の少年達はおそらく筆者の時代とは違い、女性同士の「察する」という文化をすんなり受け入れられるようになっているのかもしれない。千夏先輩が可愛いから人気出てるだけかもしれないけど。

青春時代の葛藤の背中を押すような劇伴

 アニメももちろん非常に良い出来で、早くもSNSなどを中心に話題作になっている。もう何度も思ってきた事だが、日本アニメの作画レベルって際限なく上がっていってて怖いまである。原作の絵がしっかり再現されているだけじゃなく、体育系の部活の動きなんかも今のところ無理なく描写されていると思う。そして劇伴!もう顔がニヤけてニヤけて仕方ないくらいに、これでもか!と青春なのだ。まだ執筆時では3話までしか放送されていないが、1話の主人公猪俣大喜君の「インターハイ、行ってください!」のシーンの前の劇伴の、早朝でまだ日も昇りきっていない時間の空気、焦燥感、朝練の体育館、そして言葉にせずにはいられない想いが凛とした音のピアノとストリングスにのせられて伝わってくる。緊張感のあるシーン、リラックスしたシーン、これから様々な場面でどんな劇伴が使われるのか非常に楽しみになった。

 そして、良い意味で裏方に徹している感のある音楽がまた素晴らしい。作品とマッチしすぎていて音楽を聞こうと思って見ていても気付くと物語に引き込まれているのだ。そういった意味合いでも確実に100点な劇伴ではないだろうか。

 今作の劇伴を担当されたのは大間々昂(おおままたかし)氏だ。どちらかというとドラマやドキュメンタリーの劇伴を作っていることの方が多い印象の作家さんだが、記憶に新しいところだと機動戦士ガンダム水星の魔女の劇伴なども担当されている。まだ30代、これからますます活躍が期待される若手作家さんである。

アオのハコは前述した通りリアルさが一つのウリなので、ある種の青春の残酷さなども描写されている場面が作品内に散りばめられているが、そういったシーンをどう彩ってくれるのか、どんな楽器で心情を表していくのか、満を持してアニメ化したアオのハコから益々目が離せそうにない。

画像は公式サイトhttps://aonohako-anime.com/より引用

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