以前、魔人探偵脳噛ネウロ、暗殺教室、逃げ上手の若君の3作品が、初連載から3作連続で10巻以上続き、かつ全てアニメ化されているというジャンプ作家史上初の記録を樹立したとして松井優征先生が取沙汰されていたが(そして、松井先生がド天才だという事に全く異論はないが)、初連載から三作品連続アニメ化という意味では篠原健太先生もそれに当てはまるのではないだろうか。2作品目の「彼方のアストラ」が短期集中連載的な比較的短めの作品になっており、かつジャンプ本誌ではなくジャンププラスでの連載だっただけで、連載作品は初連載の「SKET DANCE」から全て人気作かつアニメ化している。というわけで、ジャンプ本誌でも安定して人気作となり、アニメ化はまだなのか?と言われていた作品「ウィッチウォッチ」が待望のアニメ化を果たしたので、早速視聴させていただいた。
上から目線でモノを言うなって感じのセクションタイトルになってしまって申し訳ありません。でもきっと、待望だった読者はこんな感想だったはずなのではと思います。SNSの反応を見ても、このアニメに対して好意的な意見が大多数なのがわかります。そして肝心の劇伴の担当者は橋本由香利さん。おそ松さんや最近では全修。の劇伴も担当していた作曲家さんで、やはり特に「日常」のシーンについてのキャラの日常の捉え方を音にするのがとても上手いと思った。丁寧な暮らしを心掛けている乙木守仁がメインで映っているシーンでは、ボサノヴァ基調のゆったりとした優雅な朝を思わせるような劇伴。もしかすると、コーヒーを飲んでいる(コーヒー好き)からブラジルを思わせるボサノヴァが基調だったのかもしれない。こんな風に考えることのできる余地を曲に与えているあたりが流石である。全体的にテンポ良くコロコロと劇伴が変わるくらい、ふんだんに使われている点も素晴らしい。このアニメが基本的には日常があり、たまにストーリーが展開していくアニメだという性質上、日常シーンをいろどる劇伴はいくらあっても良いし、聞いている方もとても楽しい。アニメ自体のテンポも良いので良い意味で劇伴に引っ張られすぎないあたりも絶妙なバランスになっている。
篠原健太先生の作品の魅力はこの独特のテンポ感にあると思う。スケダンは特に日常の描写の中に起こる特殊な事件的なモノがメインだったし、アストラは逆に異常事態をなんとか明るく乗り切るという、緊張感を持続しすぎないようにするような日常シーンがウリだった。どちらの話も、この時点で読者が同じ空間にいるかのような感覚に陥るというか、登場キャラクター達と感情や状況を共有しているかのように錯覚させるのがとても上手いのだと思う。それはウィッチウォッチでさらにわかりやすくなっており、少年漫画にありがちなくっつきそうでくっつかない恋愛だったり、シェアハウス特有の雰囲気だったり、時折いきなりシリアスなシーンを織り込んでくる緊張感だったりとさまざまだ。そしてアニメを見進めていくにつれてキャラクター達に愛着が湧いてくる。もっと言えば、友達のように思えてくる。そういった漫画の強みを、劇伴の力でさらにアニメでブーストさせているのだから、楽しくないわけがない。毎週、遊びに行くような感覚でアニメを見られる今作、是非とも皆様もリアルタイムで追いかけてみてはいかがでしょうか。

公式サイトhttps://witchwatch-anime.com/から引用