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株式会社アテナ

ロックは淑女の嗜みでしてを通してロックは令和に蘇る事が出来るのか

 その昔、けいおん!のヒットでギターやベースが売れまくった事があった。一時的とはいえレスポール、ムスタング、レフティのジャズベースが楽器屋から姿を消した。楽器を一から始めるというのはそこそこハードルが高いと思う。そんなハードルをやすやすとこえさせるなんてアニメってスゴイなと思った(実際は、その数ヶ月後にはヤフオクなんかで上記の楽器達は売られてしまうのだが)。その現象は最近もぼっち・ざ・ろっく!で起きたので、当時を知らない人でもその空気感は感じてもらえるかもしれない。しかし、やはり楽器を続けるというのは楽器をはじめる事よりもさらにハードルが高く、さらにけいおんもぼざろも、劇中のキャラクター達が弾いているオリジナル楽曲の難易度が高いため弾けるレベルまで到達する前に挫折してしまうのも無理はないとは思う。しかし最近、ジャンププラスで連載中のふつうの軽音部では既存のバンドの楽曲が劇中歌として描かれており(しかもこれがまた、00年代からここ最近の楽曲まで手広く、しかもちょうどよくそこそこにメジャーだけど、知る人ぞ知るくらいのマイナー加減な楽曲)、「次にくるマンガ大賞」や「このマンガがすごい」で1位や2位をとるくらいの漫画がこうやってロックに焦点を当ててくれてるのはありがたい事だなと思っていた。しかし、アニメ化するのは厳しいのかなとも同時に感じていた。しかし、このアニメ「ロックは淑女の嗜みでして」は、やってのけたのだ。恥ずかしながら、筆者は原作を知らなかったのでロックレディはアニメが初見だったのですが、3話の演奏シーンの直前、二人が演奏する楽曲を選ぶシーンにチラッと見えるthe 昨晩という文字でもしやと思い、イントロの一音目のコードでmudy on the 昨晩のYOUTHだ、懐かしい!という感情とともに、コレ流せるんだ!じゃあアニメを通して最高のバンドが音楽ファンだけじゃなくてアニメファンにも知れ渡るじゃん!スゴイ!と思った。

アニメはかつてはサブカル。音楽はメインカルチャーだったが…

 最近、音楽は消耗品化してしまっていると思う。曲自体のクオリティや、作曲カロリー的なものはどんどん上がっていってるのは間違いない。昔のようにイントロが長かったり、AメロBメロサビ…と続き、無難に2番で同じメロディが流れたり…というような曲だと、その時点で聞いてる人は飽きて飛ばしてしまうらしい。なので最近の曲は最後まで聞いてもらえるような工夫がなされているし、曲の最初の方に盛り上がる構成になっていたりする。飽きないように曲中で何度も転調したりという楽曲も多い。違和感なくそういった工夫を楽曲に足していくことは容易ではない。それでも人はどんどん新しい曲を求め、少しでも飽きを感じたら容赦なく飛ばされてしまう。CDアルバムを買って、ワクワクしながら歌詞カードを読みながら歌詞の意味を考え、曲と曲のつながりを楽しみ、最後まで通して聞く…という楽しみ方が正しい!とは言わないが、少なくとも今よりも音楽の地位が高かったのは間違いないと思う。それに比べアニメは昔は隠すべき趣味の筆頭であり、学校でアニメの話をすればスクールカーストはたちまち転がり落ちるのが常だったものだが、今はそんな偏見はほとんど残っていないだろう。それどころか、アニメを全く知らない人よりアニメの話が出来る人の方がモテるまであるように思える。

ロックは大衆の嗜みに戻れるのか

 さて、ロックレディの話に戻そう。劇伴は非常に繊細な淑女を思わせるようなクラシカルで流麗な楽曲が多く、それ故にギャップで劇中歌が映える出来栄えになっている。原作での意図を劇伴が後押ししている好例だ。実際にYouTubeで劇中歌に使われた楽曲「YOUTH」のコメントは爆増し、再生数も大分上がっていた。この作品がさらにヒットしてくれたら、間違いなくここ最近ではごく一部の人しか好むことのなくなってしまった「ロック」に再注目される事になりそうだ。淑女達によって、ロックは再び大衆のもとに戻れるのかはわからないが、このアニメにはこのままどんどん突き進んで行って欲しいと思う。

公式サイトhttps://rocklady.rocks/より引用

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